ボン君の成長記録(17ヶ月目)

 

 17ヶ月目に入ろうかという頃、私と息子の2人だけで実家に里帰りした。夫の方の仕事とそれに関することが忙しく、自宅でしなければならないことも多く、私達夫婦にとっても、それがいいかも知れないと思ったからだ。

 機内では、母子2人旅行、機内満席、フライトアテンドの人たちの態度、等々色々重なり、日本に着いたときもう私は瀕死状態だった。12時間ほどの機内、息子は10時間、あっちこっちと行ったり来たりで忙しく、たった2時間しか寝てくれなかった。体重は10キロは超えていたけれど、バシネットに何とか子供を入れてもらった。でも、私は一睡もすることは叶わなかった。

 久しぶりに会う、息子のお祖父ちゃんのお出迎えだったけれど、すぐにうち解け、疲れていないのか、実家へ向かう電車の中ででも息子は絶好調だった。

 日本では、またまた、みんなに可愛がって貰い、私は家事と育児を放棄できた。でも、実家の方でも、息子のあまりもの活発ぶりにはちょっと手を焼いていた。公園などに遊びに行けば、他の子供達をその子の年齢に構わず押しのけ、滑り台やらで遊ぶ息子を、押しのけられた子供も唖然として見ているしかないという感じだった。一体このエネルギーはどこから来るのか、、、。私からの遺伝なんだろうか?私の両親は、まさに私とそっくりだと息子を表現していたけれど、こんなに私は落ち着きがなく活発だったのだろうか?確かに、主人より私の方が息子の性格に近いけれど、、、。

 終いには、起こるべき事が起こってしまった。お好み焼きやさんに行ったら、鉄板に指を乗せて火傷してしまった。さすが日本の食べ物やさん。お冷やがあったので、そこに氷をたっぷり入れてもらい、息子本人は氷水で遊んでるつもりでずっと手を突っ込ませ冷やし続けた。水膨れが出来たので、次の日病院に行ったところ看護婦さんに「もっと冷やさなあかんなあ、、、10分じゃあかん。30分は冷やさなあかんで、、、」と私に直接ではなくぶつぶつとつぶやいているのには切れてしまった。職業柄、直接諭すように言わないと駄目でしょう??

 幸い、次の日には自然に水膨れが潰れ、さすが若い細胞、もう跡形もなく綺麗になっている。

 前回もそうだったけど、今回の里帰りでも私は体調を崩してしまった。ずっとストレスや疲れが溜まって、それがちょっと緩むとすぐ体調を崩すことが私にはよくあった。今回は、でもどちらかというと、風邪のようだった。しかも吐く風邪。辛かった。母親に続いて私もなったのだが、同じ日にゲロゲロしてなくて良かったよねと話した。そうでなければ、息子のあの行動を制御することが不可能で、すごいことになっていたかも知れない。

 日本食に(しかも勿論、日本で売られている物で、日本で作ったもの)ありつけるということは、こんなにも嬉しいことなのかと思う。煮物なんて、年寄りくさくて昔はあまり食べていなかったけれど、今は何でも、単なる大根下ろしでも美味しいと思ってしまう。味もスイスの物とはやっぱり違うし美味しい。息子もそういう私の気持ちを知ってか知らずか、たらふく食べていた。勿論お祖父ちゃんお祖母ちゃんから貰う甘い物にも舌鼓を打っていた。

この頃息子がしていた芸。

  「良い顔して。」というと、歯をニマーと見せて「いーー」と言う。

  「あー臭ーいして」というと鼻をつまむ。

   こんにちはと有り難うをするときは頭を下げる。

お気に入りは、生まれたときからずっと一緒の、タオル地で出来た人形とおしゃぶり。そしてリモコンやボタン。

 美味しいものを一杯食べて、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんとも一杯遊んで、一緒に寝て、スイスに帰る機内の中では、行きとは反対に、しばらく寝ては泣き、しばらく寝ては泣きの繰り返しだった。もう母子だけの旅行なんて絶対しないぞと思った。チューリッヒのクローテン空港で出迎えた主人に抱っこされるのを、息子は少し嫌がった。

 旅行をするときは、勿論、変則的な生活リズムになるけれど、息子は夜中の授乳で泣いていた頃を除けば、1才になるまではあまり夜泣きもせず、1才になってからは殆ど夜泣きはなかった。 未だに、時々寝付くときにぐずるときはあるけれど、そして、活発ぶりと落ち着きのなさにはほとほと手を焼くけれど、親孝行な息子なんじゃないかと思う。

 気持ちの表現方法も多彩になってきて、散歩していても、歩くのが嫌なときは私や主人の足にしがみつくし、寝付くときも、私達のベッドで寝たいらしく、寝るまでその大きなベッドで寝かせ、寝入ったら子供ベッドに移すこともよくあった。

 名前を呼べば「あーい」と手を挙げるし、こんにちはをするときは頭を少し下げたりする。のどが渇くと「あみー(お水くれ)」と言うし、この頃のお気に入りの言葉は託児所で覚えてきたらしい、子供の大好きな言葉「なー、なー」「なーい、なーい」(どちらもnein、noのこと)。

さよならはこちらでは、イタリア語の「Ciao!(チャオ)」をよく使うのだが、これも彼のお得意の一つで、手を、不器用に振りながら「たー、たー(Ciao、Ciao)」とよく言っていた。活発ぶりから生傷も絶えなかった。

 本当に成長の速さには驚かされる。

 この頃の彼の生活リズムは、夜8時から朝7時半まで寝て、昼寝を12時半から2時頃までする。朝と昼はだいたい私と食べ、夕食は3人で食べる。午前10時頃と、お昼3時頃に小腹が空くようで、パンなどを与えていた。

体重11キロ 身長81センチ(丸17ヶ月)(家で計ったので大体の数値)

08/03/02