ママの出産記録4

 

 ヘバメが頭囲を計ったりしている。難産のはず。平均33センチの頭囲が息子の場合37センチもあったのだ。本当にでかい頭。そして主人がヘバメの手助けの元、産湯につけることになる。でも息子は泣いてしまいさっと浸かるだけになる。その後もヘバメが息子に服を着せたりしてる内に日付が変わりつつあった。主人は、もう後はとりあえずはヘバメや看護婦さん達の元で、私と息子は安心、安全ということで家へと帰っていった。    

 ヘバメが他の産婦さんや、その他の仕事でバタバタしている間、私は分娩台の上で一休み。そして、「感覚はないと思うけど、一度トイレに行っておしっこした方がいいわ。」という。足もがくがくで、なんだか頼りなく歩いている。しんどくなったら言ってね、と言われるが「今のところ大丈夫」。後少しでトイレというところで「何かちょっとしんど、、、、、」と気を失って倒れてしまう。「、、、、からね。今からベットに戻るからね。」とのヘバメの声と共に気がつく。その間の記憶が全くない。「頭は打ってないからね。こういうことは出産直後には良くあることだからね。」と、もう一人のヘバメと一緒に私を起こそうとするも、またまた気を失う。  気がつくと、トイレ前の床に倒れたまま。私は、どうして今からベットに戻るって言ったのに床に寝てるのかしらと不思議に思う。床には血が落ちていた。やっとでベットに戻る。  分娩中の出血量は普通だったそうだが、貧血で倒れたそうだ。最高血圧60台、最低血圧30台だった。「何も食べてないのに大仕事したんだもんね。」とジュースとクッキーをもらって食べた。  

  病棟の看護婦さんが私達親子を迎えに来た。夕べ、陣痛が始まったとき、CTGをチェックしてくれた人だ。「まあ、ママになったのね。おめでとう。」  分娩室を出たとき、他の分娩室から女性のいきみ声が聞こえた。もしや、と聞いてみると、やっぱりあのイタリア人女性だった。「彼女も、廊下であなたのいきむ声を聞いてたのよ。」まだ私が陣痛に耐えてた頃、彼女はパートナーと廊下にいたとき、私の声を聞いていたそうだ。    

 病室に戻ってしばらくして、再度「分娩室で出来なかったから、もう一度おしっこトライしてみて。」と言われる。尿意は何となく感じるのだが実際出るまで時間がかかった。  その日は、ナースセンターに息子を預けとにかく眠ることにした。

 次の日から本格的に授乳が始まるが 乳首がいきなりかなり傷む。大きく生まれたから吸う力も強いのだろうか?物理療法の専門家が来て、ベットの上で出来る産褥体操を教えてもらう。  昼休みに主人が会社からやってきて(主人は、私達が入院中は会社に行って、退院後一週間の休みを取ることに決めていた。)、昨夜家に帰るとき、夜空を見上げながら、すごく不思議な気分だった、と言った。夜も興奮して深くは眠れなかったようだ。

 やっぱり、授乳の度に乳首が痛いので、ランプ療法をすることになった。これは乳首に、蜂蜜のような物(Mutterbalsam)を塗り、赤いランプをあてるやつだ。化膿止めの効果があるのだろう。  

 出産準備教室のヘバメが、早速子供を見に来てくれた。「大きい赤ちゃんね。○○の赤ちゃんも大きかったのよ。」と、例のイタリア女性も日付が変わってから出産したことを教えてくれた。そしてなんと、彼女の赤ちゃんは4700グラムもあったのだ。もう主人も私もびっくりである。次の日早速病室を訪ねたけれど、彼女の赤ちゃんも頭が大きくて、吸引となったそうだ。  

 いよいよ乳首も痛くてたまらなくなり、衣類が擦れるだけでヒリヒリしていた。そこで母乳専門の看護婦さんが来てマッサージをしてくれたり、やり方を教えてくれたりした。でも生んで3日後からは、もう耐えられなくなり搾乳機で搾乳することにした。これも、吸うわけだから多少は痛いのだが、直接乳首に触れる物がないだけましだった。  会陰切開の傷のチェックもあり、子宮の収縮具合のチェックもあり、産褥体操教室に参加したりと、知人から聞いてはいたのだが、入院中のスケジュールは盛りだくさんで、学ぶこともありで大忙しだった。  

 出産から五日後、入院からちょうど一週間後に、母子とも経過良好とのことで無事退院となった。 授乳のことに関しては、やはりとても直接は出来ず、退院早々、主人に近所の薬局から搾乳機を借りてきてもらい(費用は全額保険会社から出る。)その後、約半月ほど搾乳しては、ほ乳瓶であげるという日々だった。退院後のことは、育児日記に記録していこうと思う。

09/03/01  

P.S.赤ちゃんの名前は、あらかじめ、出産する病院からもらう届け出用紙に記入し、入院するときにFamilienbuchlein(戸籍帳のようなもの)と一緒に提出する。市役所への手続きはすべて病院がしてくれるので、とても楽だ。後日、子供の名前が書かれたFamilienbuchleinが自宅へ届けられる。  ただ、うちの場合は、出産するときにはまだ記入してなかったので、出産後、主人が、事務の人に直接言いに行った。だから、顔を見てから最終的な名前を決めるとか言うこともできなくはないようだ。  

05/08/01