子宮内膜症闘病記3

 

 いよいよ入院。手術に先駆けて、あまりにも大きくなっている卵巣なので、その内容物を出来るだけ出す処置をしようと言われる。普通、卵巣は親指の第一関節ほどの大きさである。100円玉か500円玉ぐらいの大きさだ。私の左卵巣は、8センチ×15センチにまでなっていた。先生にも「お腹が最近ふくれてきたなあとか思ったことなかった?」と聞かれるほど。「下っ腹はいつも出ているので気になったことありません。」        

 入院日、病状、これまでの診察、手術の方法の説明を受ける。胃ガン、大腸ガン、子宮頚ガン、子宮体がんではないとのことで、後は子宮内膜症か、卵巣がんかは中を診ないと確定できないと言われる。もし卵巣ガンなら子宮も、両方の卵巣とも取らなければならないかも知れない、若いと進行が速いからと言われる。もし、手術中に、明らかにガンであることがわかったら両親にどうするか聞くと。私は、母にもしガンなら何も取らないで一度お腹をそのまま閉じてほしいと先生に言ってくれと言う。

 その日の夕方、その夜にする内容物摘出施術のため点滴をされる。夜お迎えが来て細い台に乗せられ手術室へ。部分麻酔するか?と聞かれ、今日して3日後の本手術にも麻酔しても大丈夫ならしてほしいという。問題ないとのことで麻酔してもらう。血管を通じて麻酔が入っていくのがよくわかり、頭がぼーっとなるが意識はある。お腹の上に布が立てかけてあったので実際何をしているのかはわからなかったが、「眠かったら寝ててや。」と言われるもじっと目を開けて待つ。処置が終わったとたん寒気を感じ先生に毛布を掛けてもらう。そのまま病室へ戻る。しばらくして、一緒に手術室にいた、主治医の上司の先生が血の様なものが入った注射器を持ってきた。「170ccの血が採れました。」そんなにたくさんの血が卵巣に閉じこもっていたのだ。ちょっと怖かった。その後頭痛と吐き気がするも横になってると楽になった。    

 次の日の夜、何故か病室にネズミを発見。ナースコールして「あのお、ネズミがいるんですけど、、、。」看護婦さんも思わずぷっと笑い「今行きます。」廊下に出るのが見えて、行方を追うため私も廊下へ出ると、何故か看護婦さんが裁ちばさみを持って戦闘準備オーケー。しかしもうネズミはどこかへ行っていた。その後見ることはなかった。     

 手術前日。剃毛をされる。安い使い捨てかみそりなのか、後は血だらけ。爪を切るよう言われ、最後のシャワーをする。3時頃、看護婦さんが下剤の入ったジュースを持ってくる。でも夕食は普通食。明日はいよいよ手術だ。

 病院の朝は早い。6時過ぎに採血。その後浣腸と検温。シャワーは5,6日無理だろうし朝もう一回してもいいよ、と。10時過ぎに両親が来る。手術のための点滴が11時半頃から始まる。これからしばらくはこの管が着いて回って行動が不便になるだろう。2時前、手術室に向かう前看護婦さんが「緊張をほぐす注射する。」と行って来る。二の腕にする筋肉注射。苦手なやつだ。「絶対打たないと駄目です?私腕の筋肉注射嫌いなんです。」「そんならお尻に打とうか?」「いや、、、腕でいいです。」 確かにすぐ気持ちがふわーとしてきた。   

 手術室では、手術室詰めの看護婦さんと麻酔科の先生のみ。心電図等の準備をしている。麻酔科の先生が「ちょっとピキピキしますよ。」と言って、点滴の管から麻酔を入れる。数日前のとは種類が違う。全身麻酔だ。本当に思わず「いたたたたたっ。」と言うほどピキピキした。麻酔が入って恐らくほんの3秒ほど、私は眠りに入り、次気が付いたときは、手術が終わった後だった。       

 2人の先生が「終わりましたよー。」と交互に言うが返事する余裕もなく、目をぱちぱちさせて返事のつもり。すぐに、異常な痛みに気が付いた。先生や、書物では、腹くう鏡下手術は、開腹手術ほど痛みはなくアメリカでは、手術した日に帰る人もいるほどだと聞いていたので、甘く見ていた。「あんたら私の体に何したんやーーー!!!」と先生に言ってしまいそうなほど痛かった。あと、尿意がすごかった。「おしっこ。おしっこ。」と小さな子供のようにつぶやくのがやっとで、どうやら尿管が絡まっているところがあったらしく、これはすぐに楽になった。そして、いわゆる分娩台に乗った格好のまま手術だったので、右足の血の巡りが良くなく、しびれが切れた状態、全く感覚がない。

 病室に帰るまでの間にも、麻酔が残っているため熟睡し、病室で両親が「終わったんやで。」と言っているのが聞こえる。ちらりと時計を見ると7時半。開腹ではないから2時間ほどかかるでしょう、と言われていたが5時間半もかかったとは、、。その後先生が両親を呼んで手術の報告。それからしばらく両親は居たらしいが、まだ麻酔が効いている私は熟睡。「もう、今日は帰るしな。」と言って、多分10時頃両親帰る。  

 夜中頃麻酔が切れるが、それからは痛みとの戦い。何度も目が覚め、2度吐く。そのたびにナースコールして背中をさすってもらう。このときばかりは怖い看護婦さんもナイチンゲールのように見えた。   

 次の日の朝食は、立派な普通食。まあ胃腸の手術ではなかったけれど、とても食べる気にならない。傷は痛むし、右足は相変わらずしびれて感覚があまりない。手術中、人工呼吸器を付けていた事と、お腹を炭酸ガスで膨らましての手術だったので、鎖骨のあたりがかなり傷む。熱もある。本当は、今日中に尿管を取りたいらしいが、看護婦さん、諦める。入院前から風邪気味だったので痰が出て、切ろうとするには思いっきりゴホゴホしなければならず、そうすればお腹が爆発するほど痛いに決まっているので苦しい。尿管と、点滴の管、痛みで寝返りもままならず。明日は楽になると看護婦さんに慰められ眠るが、あまりに痛く痛み止めを3回入れてもらう。 

21/04/00